森の中の映画館。

不定期に映画の感想記事を投稿します。

映画【老人ホームの吸血鬼】老婦人ヴァンパイアが活躍する映画です。(※ネタバレあり)


※この画像は生成AIで作ったイメージ画像です。

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U-NEXTで見付けたナイスな映画です。

この作品を調べて見たところ、パルマ・ヴァーサス国際短編映画祭なるものが存在し、そこに応募された作品のようです。
そのサイト内にU-NEXTセレクション40なるものがあり、厳選された40作品を独占配信しているようです。(記事執筆時点2025年12/2)

パルマ・ヴァーサス国際短編映画祭公式サイト

https://palmaff.jimdofree.com/


Splat!FilmFest|YouTubeチャンネルより。 

こちらのIMDbサイトにちょっとした紹介文が載ってます。
https://m.imdb.com/title/tt23161990/


【老人ホームの吸血鬼】OLGA'S EYES|ベルギー|23分

感想

ストーリー
豪邸に住む老婦人オルガは吸血鬼。
夫が亡くなり広過ぎる豪邸から、娘のすすめで老人ホームに入居することになります。

老人ホームで出される食事が、血液しか受け付けない吸血鬼のオルガにとって、蛆虫(蛆虫のような虫の集まり)に見えて食べることができません。

お腹が空いて仕方がないオルガは、娘に電話して血液を送ってくれるように頼みますが、ストライキのため郵便が中々届きません。(ピンチです)

空腹に耐えかねたオルガは、夜中向かいの部屋の眠っている老婦人の元へと忍び寄り、血を吸おうとしますが、急に老婦人が目を覚ましたため諦めます。(因みにこの老婦人には夫がいて、夫と2人同室で暮らしています)

トイレの汚物入れから使用済みのタンポンを見付けたオルガは、そのタンポンを口に入れ味わうほど空腹に苦しんでいました。(空腹もそろそろ末期です)
老人達の血液検査の為の試験管に入った血液まで盗んでしまいます。


そんなある日、老人ホーム内で危篤状態の老人が処置室(そんな感じの部屋)に運ばれ、恐らくもう長くはないであろうその瀕死の老人の血液を抜き、血を容器に入れて持ち帰ります。


暫くその血液で空腹を凌ぐオルガですが、その血液も残り僅かとなり焦るオルガの元に、漸く娘から血液が送られてきますが、ホーム内の老人宛に届いた荷物は職員がチェックする必要があるらしく、男性職員に勘付かれてしまいます。

そんなオルガの部屋のベッドの下にニンニクが置かれています。(ニンニクを置いたのはあいつなのか!?)
オルガはニンニクを処理し、不穏な空気を感じ取ります。

そんな中向かいの部屋から老婦人の泣き叫ぶ声が…職員達が駆け付け部屋に入ると、老婦人は夫から激しいDVを受けていました。(老婦人が痛々しくてかわいそう…DV絶対駄目!!)

職員に部屋から救い出される老婦人…部屋に残された老婦人の夫の背後に忍び寄り血を吸うオルガ。


部屋に女性職員が戻ってきますが、オルガはなんと自分の腕をナイフで切りつけ、血が流れるその腕を女性職員に差しだします。
差し出されたオルガの腕を貪るように血を吸う女性職員…どうやら女性職員もオルガと同じ吸血鬼だったようです。


そんな中ホーム内はハロウィンパーティーの真っ最中のようで、ホーム内の老紳士とダンスを踊るオルガ。(ちょっとかわいくて良いシーン)

最後にオルガから娘に良いのか悪いのか…(私は何となく…良いような気がする)沢山の血液を要求する通話が流れて映画は幕を閉じます。



感想

タイトルとサムネに惹かれて視聴しましたが、大当たり映画でした。
白黒映画なのですが、それがプラスに働いているのは勿論ですが、なぜか鮮やかな印象を受けました。


夫を亡くした(吸血鬼の)老婦人が主人公、そして老人ホームが舞台という本来なら重めな設定を逆手に生かし、悲哀交々絶妙なバランスのシニカルな笑いが、私の心の隙間にスルリと入り込んできました。(この感じじゃ相当私の中に居座りそうです、嬉しいですねこういう感覚)

ヴァンパイアモードのオルガがかっこよくて、行動的には賛成出来かねる行動をとっていても、私はずっと画面の向こうで彼女を応援していました。

終始センスの良さを見せつけてくる、短いながらもみて良かったと心から思わせる作品でした

最後の娘との通話のシーンから…老人ホーム内がえらいことになっているようで…それもまた終わり方としては良かったと思います。
  
私のお気に入りのシーンは、ハロウィンパーティーの準備中オルガの事を怪しんでいる男性職員に、オルガが吸血鬼がよくやるような定番のあの口元を作り、軽く威嚇のような事をすると、それを見た男性職員もまた同じようなポーズをして挑発し合うのです。
普通ならハラハラするようなシーンなのでしょうが、なんだか茶目っ気があり、私はとても気に入りました。

老いたものは邪魔者扱いされると、オルガは言っていました。
長寿である吸血鬼に、老いた身でありながらなることは痛烈な皮肉であると同時に、年寄りは邪魔者扱いされるという世間の風潮に反抗する…そんな意味もあったのかもしれません。

作中でも流れ(オルガも口ずさんでいました)、エンドロールでも流れるオルガお気に入りの歌の歌詞に、老いてしぬ前に計画があるという歌詞があり、続いて『フ〇ック、酒、タバコ吸いまくり』という歌詞があり、さらに老いても尚快楽、娯楽を堪能し尽くし、自分の人生を薔薇色にする…というようなニュアンスの歌詞があります。

まさにオルガにとっては人生の指標となるような魂が求める…そんな歌なのではないでしょうか。

そんなオルガが私にとっては美しく見えました。

23分という気軽に視聴できる短編映画なので、気になった方がもしいらっしゃいましたら、是非視聴していただければ嬉しいです。